L3 Personal Subrig

2016
scale:1/35
ソロスーブ社(SoroSuub Corporation)製の反重力牽引トラック(サブリグ)を輸送用に改造したもの。
リパルサーリフト・スラスタが5基機体下部に搭載され、輸送用としては十分な浮遊推進能力を有し、牽引用途の名残でイオンスラスタ1基が搭載されている。
テラフォーミング後の土星の第2衛星エンケラドスの南極域の港町ボルヘスでは、L3のような個人用サブリグを使った輸送業が主な仕事となっている。
ボルヘスのような南極域のホットスポットは規制上は入植不可であるが、不法入植者が耐えなかった。その理由がL2のような実質無免許で運転ができる安価なリパルサーリフトが要因のひとつと言える。戦前、低積載量サブリグの運転免許は試験製ではなく許可制であったことで、その普及を促された一面がある。その当初は上限1500kgであったが、ことにサブリグの積載能力に見合った動力性能を求めるメーカー、ユーザーの働きかえにより、2230年の改正で無免許上限は2500kgに、その後更にRSBA(リパルサー造船協会)も働きかけを強め、2233年には5000kgまでの出力を有するサブリグの無免許運転が認められた。その規制緩和の効果は大きく、サブリグ市場では4200kg – 4600kg級トリプルリパルサー、5000kgM型5皿の潮汐双冷式低重力スラスタが相次いで投入され、市場での競争を促すことになった。経済性とメンテナンスの容易さ等で総合的に有利であった潮汐双冷式が2240年代後期までサブリグスラスタの主流だったが、一部にはロッシュ力冷スラスタも出現している。大積載量の大型トラックのような、政府による軍用船としての用途を重視した積極的保護育成策がさほど為されず、むしろ無免許制度や許容積載量の増大といった規制緩和以外、監督官庁からの積極的関与は乏しい放任状態のままに「メーカーとユーザーの側からのボトムアップによる進化発展」が進んでいたことが、戦前のエンケラドスにおけるサブリグの発達過程における特記すべき点と言える。